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女医 大森真帆のコラム
クランベリージュースもおすすめ!
くり返す膀胱炎の予防方法(監修記事)
2019/02/13
膀胱炎をくり返さないために意識すること
膀胱炎の原因の多くは尿道から入り込んだ細菌感染です。そのため、どんな膀胱炎であっても、水分補給・デリケートゾーンの清潔保持・体の抵抗力を保つといったことに注意が必要です。
できるだけたくさん水分をとる
膀胱の細菌を洗い流すためには、たくさん尿を作る必要があり、そのためには水分をたくさん摂ることが重要です。膀胱炎になると頻尿になるので水分を控えてしまう人もいるのですが、それでは細菌が膀胱に長くとどまってしまうので、逆効果なのです。また、暑い日などに大量に汗をかくと、せっかく摂った水分も尿にならずに汗として排出されてしまうため、十分な尿量が確保できるだけの水分補給が必要です。
また、便秘になると便の中の大腸菌が増えて膀胱炎の危険性が増します。水分をとることは便秘予防にもつながるので、膀胱炎の予防におすすめなのです。
水分摂取の目安は成人で1日1.5Lです。アメリカの研究では1年に3回以上尿路感染症を発症した成人を対象に、1日1.5L以上の水分摂取を続けたところ、1.5L飲まなかった人と比べて尿路感染症になる割合が半分になったと報告されています。
特に高齢者ではのどの渇きや膀胱炎の症状を自覚しにくいことが多いので注意が必要です。また病気の治療などで水分の制限がある人は、主治医に相談してください。
逆に下痢になると、頻回に排便することで尿路感染症の危険性が上がります。しかし、下痢の時には吐き気や嘔吐を伴うことも多く、たくさんの水分摂取が難しいこともあります。そんな時には水の代わりにクランベリージュースがおすすめです。1日コップ1杯の摂取で、後述する細菌抑制などの効果が期待できます。
デリケートゾーンを清潔に保つ
排尿は尿道を洗い流す行為でもあるので、尿意を我慢するのはよくありません。寝ているとき以外は3-4時間ごとにトイレに行くようにするのが理想です。
女性に膀胱炎が多いのは、尿道の長さと尿道口の位置によるものです。男性はペニスの分だけ尿道が長く、尿道の入り口まで細菌が来ても、膀胱まではまだまだ長い道のりですが、女性の尿道は男性の1/3の長さで簡単に細菌が膀胱に入ってしまうのです。また、男性の尿道口は肛門から遠く離れていますが、女性は近くにあり、排便のあと気を付けて拭かないと便の中の細菌が尿道口に触れてしまいます。トイレットペーパーは前から後ろに向かって拭くクセをつけましょう。
また、下着は清潔なものを着用しましょう。できれば通気性のよいコットン製の下着がおすすめです。
女性は生理中は生理用品に雑菌が付きやすいので、生理用品は3~4時間ごとに交換するようにしましょう。更年期以降の女性はホルモンの影響で膀胱粘膜が弱くなっているので注意が必要です。性行為も膀胱炎の原因になるため、性行為後はすぐに排尿するクセをつけましょう。
ストレスや睡眠不足に注意
体の抵抗力が落ちると膀胱炎にかかりやすくなったり、治りが悪くなります。そのため、普段から睡眠不足や疲労の蓄積、栄養バランスの乱れには注意しましょう。季節の変わり目や冷暖房による温度差で自律神経の乱れても抵抗力が下がってしまいます。衣服などで工夫して体温調節も心がけましょう。特に足元やおなかを冷やすと膀胱の血流が減って、膀胱に届く栄養や酸素、免疫細胞が減ってしまいます。冷え性の人は靴下や腹巻を使って体を保温し、体をあたたることができるニンニクやショウガなどを食事に取り入れましょう。
予防にはクランベリージュースもおすすめ
膀胱炎になると病院では多くの場合、抗生剤が処方されます。この場合は、お医者さんが抗生剤による治療が必要であると判断したわけですから、きちんと決められたとおりに服用する必要があります。
しかし、膀胱炎になったら抗生剤を飲めばいいや、と安易に考えるのも問題です。抗生剤を頻回に服用すると、耐性菌といってその抗生剤が効きにくい菌が生まれる可能性があります。また、抗生剤を服用することで、体に必要な細菌まで減ってしまい、下痢などの副作用が出ることもあります。
そんな人の膀胱炎予防におすすめなのがクランベリーです。クランベリーはブルーベリーと同じ科の果物で、酸味が強いため生食はされませんが、ジュースなどで販売されています。クランベリーの膀胱炎に対する効果は1994年の研究で明らかにされています。
参考記事:「膀胱炎予防にクランベリージュースが効果的というエビデンスはあるの?」
細菌の増加を防いでくれる
尿はアルカリ性になると細菌が増えやすいことがわかっています。クランベリーに含まれるキナ酸は体内で馬尿酸という物質に変化して尿に排泄されることで尿を酸性に変え、細菌が増えにくい環境を作り出しています。
さらにクランベリーにはポリフェノールの1つであるプロアントシアニジンという物質が含まれていて、この成分も膀胱炎に有効であることが明らかになりました。膀胱に入った細菌は膀胱表面の細胞にくっついて増殖し感染を起こしますが、プロアントシアニジンは細菌が細胞にくっつくことを抑制していることがわかったのです。
さらに2001年にはクランベリーが尿路のバイオフィルムに対し効果を及ぼしたことが発表されています。バイオフィルムとは細菌が作る集合体で、細菌が様々な成分で覆われて守られることで免疫細胞の攻撃をかわし生き残り、治療が効きにくくなります。このバイオフィルムは水分摂取でも減らすことはできませんが、クランベリーを摂ると減ることが研究により明らかになりました。
- クランベリーの薬効を裏付けるプロアントシアニジン(J-STAGE)
- 口腔レンサ球菌の付着とバイオフィルム形成におけるクランベリージュースの阻害効果(東京歯科大学)
- クランベリーと尿路感染症予防(東医大誌)
※PDFが表示、またはダウンロードされます。(Google Scholar) - Cranberry juice consumption may reduce biofilms on uroepithelial cells: pilot study in spinal cord injured patients(natureresearch)
- 尿路バイオフィルム感染症の課題と展望(J-STAGE)
クランベリージュースがおすすめな人
- 医薬品が使えない人
妊娠中や授乳中の人は赤ちゃんへの影響を考えると安易に抗生剤を服用することは勧められません。クランベリージュースは妊娠中に摂取しても問題ありませんし、海外では子供にも食べさせるぐらいなので、授乳中でも問題ありません。(サプリメントの場合は過剰摂取になることがあるので注意が必要です。) - 膀胱炎が慢性化している人
クランベリーの尿を酸性にする効果が、薬の効果をより高めます。(ただし、一部の尿管結石の人は石ができやすくなることがあるので、医師に尋ねてください)。 - 尿道カテーテルを使用の方
尿の管が入っている人は雑菌が付きやすく、尿のにおいが強くなることがあります。また、管が入っていることで膀胱炎になりやすい環境です。クランベリーで尿を酸性にするとにおいが抑えられます。 - 職業柄なかなかトイレにいけない人
膀胱炎の予防には尿意を我慢しないことが重要ですが、職業柄それが難しい人もいます。例えば「接客業」「看護師」「CA」「保育士」の人などです。そのような職業の人は膀胱炎の予防としてクランベリージュースがおすすめです。
まとめ
膀胱炎の予防は尿道口周囲に細菌を寄せ付けないこと、尿道口から入ろうとする細菌を定期的な排尿で洗い流すこと、体の抵抗力を保つことが重要です。しかし、尿路系の病気があったり、仕事柄トイレを我慢しなければならない場合がある人はクランベリージュースを飲んで予防することも検討しましょう。
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