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女医 大森真帆のコラム

膀胱炎は自然治癒するのか?
市販薬を服用する際の注意点(監修記事)

2018/11/28

今ではテレビでも膀胱炎に対する市販薬のコマーシャルを目にすることがあります。

特に若い女性に多い膀胱炎。

病院にかからずに治療ができれば助かりますね。

そういう意味では治療の選択肢が増えた膀胱炎ですが、
あまり市販薬に頼りすぎると、病気が悪化したり、
ほかの病気を見逃したりしてしまう危険性もあります。

膀胱炎は必ず薬による治療が必要なのでしょうか?
また、市販薬を使うときの注意点や病院に行くタイミングはいつなのでしょうか?
膀胱炎にまつわる「ハテナ」を知っておきましょう。

膀胱炎は自然に治るのか?

膀胱炎は膀胱に炎症をおこす病気の総称です。

膀胱炎には単純性膀胱炎と複雑性膀胱炎があります。

単純性膀胱炎は構造的・機能的に異常がなく、
妊娠やその他の疾患(糖尿病や慢性腎臓病、易感染状態など)を認めない場合の膀胱炎で、
複雑性膀胱炎とはそのような他の疾患等のリスクを合併している場合をいいます。

単純性膀胱炎の場合は自然治癒も望めると言えるでしょう。

多くは細菌感染が原因である細菌性膀胱炎ですが、
その他にウイルスや抗がん剤などが原因となる出血性膀胱炎・放射線による
放射線性膀胱炎・アレルギーとの関連が疑われる好酸球性膀胱炎・原因不明の間質性膀胱炎などがあります。

持病がなく思い当たる原因がない場合の単純性膀胱炎や、
若い女性の頻尿・排尿痛・残尿感はほとんどが細菌性膀胱炎です。

軽度の膀胱炎なら自然治癒する

膀胱炎の多くは外から尿道を伝って膀胱に入り込んだ「細菌」による感染で、
原因となる細菌のおよそ80%が大腸菌です。

大腸菌は名前の通り腸の中にいる菌で、便の中に大量に含まれています。

女性に細菌性膀胱炎が多いのは、肛門と尿の出口である尿道口の位置が近いことや、
男性と比べて尿道口から膀胱までの距離が短く、
大腸菌が膀胱に入りやすいことが関係しています。

細菌性膀胱炎の治療は、膀胱から細菌を消すことが基本です。

症状が出始めた早期にはそれほど細菌が増えていないので、
正常の免疫力がある状態で適切に対応すれば、
薬を飲まなくても自然治癒することがあります。

薬を飲んでも飲まなくても、膀胱炎治療では水分をとることが重要です。
実際、水分をしっかりとるだけでも、軽い膀胱炎なら治る場合があります。
膀胱炎を発症した時、何度もトイレに行きたくなるのは、
少しでも尿と一緒に細菌を体外に出して膀胱炎を治そうとする体の働きなのです。

そのため、少しでも尿意を感じたら、我慢せずトイレに行くことも大切です。

この他におなかを温めることも効果があります。

おなかが温まると膀胱に行く血流が増え、
細菌と戦う白血球などの成分がたくさん膀胱に届いたり、
酸素や栄養が膀胱に届いたりするので、
炎症を起こした部分の修復を早く行うことができます。

また、免疫力を下げないために、寝不足や体の疲れが残らないよう生活習慣を見直し、
とにかく体を休めることも重要です。

しかし、細菌の数がたくさんであったり、すぐに免疫力が回復しなかったりするときには、
細菌の力がまさって、さらに病状が悪化することもあります。

このような症状は早めに病院へ

膀胱炎は悪化するとさらに細菌が奥に入り込んで、腎臓までたどり着き、
腎盂腎炎という重い病気になることもあります。
腎盂腎炎は高熱が出て、入院治療や点滴のための通院治療が必要な病気です。

少し我慢したために、かえって病気の治療が長引いたり、
入院が必要な事態になったりしないように、
どんな症状の時には病院に行ったほうがいいのか、知っておきましょう。

  • まずは、市販薬を服用しているのに3日以内に症状が改善しない場合。この時は膀胱炎以外の病気の可能性もあるので、受診したほうがいいでしょう。
  • また、38℃以上の高熱が出た場合は腎盂腎炎になっている可能性があります。
  • そのほかに腰痛や吐き気がある場合も腎盂腎炎の可能性があるので受診が必要です。
  • 尿に血が混じった場合も、病院にかかったほうがいいでしょう。膀胱炎以外の病気の可能性や、尿管結石などの合併も考えられます。
  • さらに、その都度、市販薬を服用すると治る膀胱炎であっても、頻回に繰り返す場合は、尿の通り道にほかの病気が隠れていることもあるので、一度泌尿器科にかかったほうが安心です。

前述したように膀胱炎の多くは細菌性膀胱炎ですが、
中には細菌性以外の膀胱炎もまぎれている可能性もあります。

治療中の病気がある人や高齢者の場合は元々の免疫機能が弱いため、
容易に腎盂腎炎になったり、薬の副作用が出やすくなったりするので、
できるだけ病院受診を優先しましょう。

病院では尿検査で尿の中に細菌が残っているかどうか調べたり、
レントゲンやCTで尿路系臓器の形に異常がないかを調べたりすることができます。

膀胱炎になったら病院受診がベストです。
もし、事情があって病院にかかることができず家庭で治療をしていた場合、
対処しているのに改善が見られない場合は、異常事態と考えて早めに病院に行きましょう。

市販薬に膀胱炎の菌を殺す効果はない

市販薬の中には膀胱炎を対象にしたものがあります。

しかし、市販薬は病院でもらう薬とは効き方が異なるので、その違いを知っておきましょう。

膀胱炎の市販薬は以下の効果をもつ「生薬」が配合されたものです。

生薬とは植物などから薬としての効果を持つ成分のことで、一般的に漢方薬と呼ばれるものです。

1つ目の効果は抗菌作用です。抗菌作用とは細菌が増殖するのを抑える効果をいいます。

2つ目は利尿作用です。利尿とは尿量を増やす効果のことで、たくさんの尿を作って出すことで、細菌を洗い流し、膀胱を洗う効果があります。

3つ目は抗炎症作用です。細菌感染による膀胱の炎症を抑えて、頻尿などの症状を早期に改善します。

4つ目は鎮痛作用です。感染や炎症による膀胱や尿道の痛みを和らげてくれます。

これら4つの効果が合わさり膀胱炎の症状を抑え、治癒を助けてくれるのが生薬で作られた市販薬です。

対して、病院では必要に応じて「抗生剤」が処方されます。
抗生剤は生薬の抗菌作用よりも細菌の数を減らす効果が高いのが特徴です。
つまり病院の薬のほうが、直接膀胱炎の原因である細菌に効く治療なのです。
そのため、しっかり早く治すのであれば病院受診が勧められるのです。

市販薬はその性質上、膀胱炎の初期・軽度の膀胱炎に対して効果を期待するものです。
高熱が出たり、悪化したりしてからでは効果が低いということを知っておきましょう。

必ず用法・容量を守って服用すること

市販薬はドラッグストアで手に入るとはいえ、薬であることに変わりはありません。
正しい飲み方をしないと、すぐに膀胱炎が再発したり、
薬の効果を十分発揮できなかったりすることがあります。

市販薬には複数の種類がありますが、生薬の配合具合により前述した4つの効果のバランスが異なるので、
例えば「痛みが強い場合は鎮痛効果が強いもの」など、症状にあわせて選ぶことも可能です。

どんな薬にも当てはまりますが、膀胱炎の薬も漢方薬とはいえ、
きちんと使用上の注意を読んで、用法・用量を守って服用しましょう。

また、膀胱炎の特徴である痛みや頻尿などの症状が消えたからと言って、
すぐに服用をやめてしまうと、残った細菌が再び増殖して、
膀胱炎がぶり返すことがあります。痛みや頻尿が治まったのは生薬の効果であり、
細菌が消えて膀胱炎が治癒したからではない場合もあるので、
市販薬の場合は症状がなくなってからも2・3日は水分をしっかりとりながら薬の服用を続けておいたほうが安心です。

市販薬は漢方ですが、漢方薬にも副作用が起きる可能性はあります。
そのため、市販薬を服用して、例えば咳・筋肉痛・手足のつり・胃腸症状など、
体調が悪化した場合には副作用のチェックもかねて病院を受診したほうがいいでしょう。

まとめ

たとえ自然治癒する可能性のある膀胱炎であっても、病院の受診が基本です。
しかし、すぐに病院にかかれないときに何も対処ができないと、その間、頻尿や残尿感などが続き、憂鬱に過ごさなければなりません。
そんな時には、市販薬を使ってみるのもいいでしょう。早期に市販薬を使うことで、
病院にかからずに治すことができる膀胱炎も増えるかもしれません。

しかし、市販薬で改善しない場合は、病院受診が必要であることを忘れてはいけません。

手軽に入手できる市販薬ですが、正しく使い、その効果を過信することなく、市販薬の効果が不十分な時には、病院で受診しましょう。

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